☆配偶者居住権のメリットと使いどころ

配偶者居住権のメリットと使いどころ|不動産相続で損しないための実践ポイント

 

■ 配偶者居住権とは? 2020年の民法改正で創設された 「配偶者居住権」 は、亡くなった夫(または妻)の家に残された配偶者がそのまま住み続けられる権利のことです。 従来は「建物(所有権)を相続する or 出ていく」の二択で、選択肢が限られていましたが、この制度により“住む権利”と“所有権”を分けて相続できるようになりました。 不動産の評価額を下げつつ、配偶者の生活を安定させることから、相続税対策としても注目されています。

 

■ 配偶者居住権の3つの大きなメリット

① 相続税の節税につながる 配偶者居住権は、所有権よりも評価額が低いため、 建物の「全部を相続する」よりも、税負担を小さくできます。 例えば… 建物の所有権 → 子どもが相続 配偶者居住権 → 配偶者が取得 と分けることで、全体としての相続税評価額が下がる仕組みです。 ぱんだはうすメモ 不動産の相続税評価額がグッと下がるケースも多く、 「自宅を残したいが子への負担も気になる」という家庭に特に向いています。

② 高齢の配偶者の住まいの安定を確保できる 所有権を子が相続しても、 配偶者居住権が設定されていれば追い出されることはありません。 ・介護サービスを受け慣れた地域で暮らせる ・家賃も不要 ・配偶者が終身または一定期間、安心して住み続けられる という非常に大きな生活面のメリットがあります。

③ 子ども(相続人)間の公平性を保てる 配偶者が住む家を「丸ごと相続」すると、 子どもに渡せる財産が減って不公平になりがちです。 しかし、配偶者居住権なら: 配偶者 → 住む権利のみ 子ども → 所有権 という分配ができ、財産のバランスが取りやすいのが特徴です。

 

■ 配偶者居住権を「使うべきケース」 ケース1:子どもが複数いて不動産が自宅しかない 節税と公平性の確保の両立が可能。 ケース2:高齢の配偶者の住まいを確保したい 施設入居を急がせず、自宅での生活を継続できる。 ケース3:不動産価値が高く、相続税が心配な場合 評価額を抑えて税負担を減らす効果がある。 ケース4:再婚家庭や連れ子がいる場合 住まいの保障と財産の公平配分がしやすい。 ぱんだはうすメモ 実務上も活用場面が増えていて、特に「自宅が資産の大半」という家庭では効果大です。

 

■ 配偶者居住権を使う際の注意点 ① 原則として配偶者が亡くなるまで消滅しない 所有権を持つ子どもが「売りたい」と思っても簡単に売れません。 家の管理責任は双方にあるため、トラブルになるケースも。 ② 建物の修繕費などは誰が負担するか要確認 大きな修繕 → 所有者 日常の維持管理 → 配偶者 とされますが、実際は判断が分かれることも。 ③ 遺言書や遺産分割協議での明確化が必須 曖昧なままだと相続後に揉めるため、 事前の設計と専門家の関与が非常に重要です。

 

■ まとめ|配偶者居住権は“住宅の相続”を柔らかくする制度 配偶者居住権は、 「配偶者の住まいの安定」と「子の財産確保」 の両方を成り立たせる相続制度です。 とはいえ、 制度の設計を誤ると後の不動産売却が難しくなるケースもあるため、 事前に相続の専門家・不動産会社に相談するのがおすすめです。 ぱんだはうす 自宅の評価額や活用シミュレーションも含め、 どのタイミングで配偶者居住権を使うべきか、状況に合わせてご提案できます。

2025年12月13日