☆養子縁組と相続権の仕組み

養子縁組と相続権の仕組み|実子と同じ?順位・取り分・注意点を徹底解説

少子高齢化が進む中、 「相続のための養子縁組」を行う家庭が増えています。 しかし、 養子は実子と同じ相続権を持つのか? 再婚相手の連れ子を養子にした場合は? 養子が複数いると相続税はどう変わる? こうした疑問は意外と誤解が多く、 正しい仕組みを知らないと 相続トラブルにつながる大きなリスク があります。 本コラムでは、不動産相続に強い専門家視点から 養子縁組と相続権のルールを徹底的にわかりやすく解説します。

 

■ 養子は実子と「全く同じ相続権」を持つ 民法上、養子縁組をすると 実子と完全に同じ相続権 を持ちます。 ✔ 養子の相続権のポイント 法定相続人の「子」として扱われる 取り分(法定相続分)は実子と同一 遺留分も実子と同じ割合 未成年養子・成人養子どちらでも相続権は同じ つまり、相続においては “実子=養子” の扱い です。 ぱんだはうすメモ 相続分の計算では「実子1人+養子1人=子2人」で分けることになります。

 

■ 普通養子と特別養子で相続ルールは違う? 養子縁組には次の2種類があります。 ◎ 普通養子縁組 → 実の親との親子関係も継続 → 養親・実親どちらの相続も受けられる(相続権が2つ) ◎ 特別養子縁組(家庭裁判所の審判が必要) → 6歳未満が対象(例外あり) → 実親との関係は完全に終了 → 相続権は「養親のみ」 ▼ 相続権の比較 区分 養親の相続権 実親の相続権 普通養子 ある ある 特別養子 ある ない ぱんだはうすメモ 普通養子にすると相続権が2系統になるため、実親・養親の両方の遺産を相続できるケースが発生します。

 

■ 再婚相手の連れ子の場合|養子縁組しないと相続権なし 再婚家庭でよくある誤解がこちら。 ✘ 再婚相手の連れ子に相続権がある → 養子縁組しない限り相続権は一切ない です。 たとえ10年以上一緒に暮らしていようと、 DNAが繋がっていなくても、 法律上の親子関係がなければ相続権はゼロ。 ▼ 養子縁組するとどうなる? 法律上の親子関係が成立 相続人として扱われる 相続税の計算でも「子」としてカウント 再婚家庭では意識的に養子縁組を行わないと、 “子どもが相続人になれない”という問題が起きやすいのが現実です。

 

■ 養子が増えると相続税が有利になる理由 相続税には「法定相続人の数によって控除枠が増える」という仕組みがあります。 ◎ 基礎控除額 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数 つまり、 養子が増えるほど基礎控除額が大きくなるため、 課税対象が減り相続税が軽減されます。 ただし節税目的での過度な養子縁組を防ぐため、 相続税法では次のように上限を設定。 ▼ 相続税の計算上、控除対象とする養子の数 実子がいる場合 → 1人まで 実子がいない場合 → 2人まで ぱんだはうすメモ 養子を何人増やしても相続人にはなれますが、相続税の計算で「子としてカウントされる人数」には上限があります。

 

■ 養子縁組で起きやすいトラブル ■ ① 実子が不公平だと感じる 養子の相続分が実子と同じため、 「親の財産を取られた」と感じて揉めやすいケースが多いです。 ■ ② 普通養子だと“2つの系統で相続”できることへの反発 実親・養親どちらからも相続できるため、他の相続人が納得しないことがある。 ■ ③ 遺産分割協議がまとまらない 相続人が増えるほど“全員の合意”が難しくなる。 ■ ④ 不動産が一つしかない家庭で深刻化 不動産は分けづらいため、 人数が増えるほどトラブルの火種に。 ぱんだはうすメモ 養子縁組をする前に「不動産の分割設計」をしておくことが重要です。

 

■ トラブルを防ぐために必要な対策 ◎ ① 公正証書遺言の作成 実子と養子の取り分を明確に。 ◎ ② 家族会議で事前説明 養子縁組の理由を説明することで紛争リスクを大きく軽減。 ◎ ③ 生前贈与や代償分割の検討 不動産しかない家庭は特に重要。 ◎ ④ 家族信託の活用 判断能力低下前の資産管理に効果的。 ぱんだはうすメモ 養子縁組は相続対策として優れた手段ですが、説明不足は“遺恨”を生みます。事前の準備が鍵です。

2025年12月13日