認知症と成年後見制度|財産管理はどう変わる?
■ はじめに 日本では高齢化が進み、認知症による判断能力の低下が誰にとっても身近な課題になりつつあります。 不動産の売却・相続・贈与など 「重要な契約行為」 は、本人がきちんと理解できる状態でなければ無効になってしまうリスクもあります。 そんな時に役立つのが 成年後見制度。 今回は、「認知症になると財産管理はどう変わるのか」「成年後見制度の何がメリットで何が注意点なのか」を総合的に解説します。 🐼ぱんだはうすコメント 「認知症になってから慌てるケースは本当に多いです。元気なうちに“家族で話しておくこと”がいちばんの備えですよ!」
■ 認知症で困る“財産管理”の4つのポイント 1. 契約行為ができなくなる可能性 認知症で判断能力が不十分になると、 不動産売買の契約 賃貸借契約 銀行の預金引き出し 相続手続き などがスムーズにできなくなります。 特に不動産は「高額取引」のため、司法書士や金融機関が契約を止めるケースも多く見られます。 2. 詐欺・悪質商法のリスクが増える 判断能力が低下すると、家に来た営業マンの言われるまま契約…といったトラブルが増えます。 家族が気づいたころには解約できない場合もあります。 3. 家族が本人の財産を“勝手に”扱えない 「同居しているから」「家族だから」では銀行口座の引き出しはできません。 成年後見人の正式な認定がなければ、手続きが止まってしまいます。
■ 成年後見制度とは? 認知症などで判断能力が不十分になった人のために、裁判所が選任した「後見人」が財産を適切に管理する制度です。 成年後見制度の3つのタイプ 後見…判断能力がほぼ失われている 保佐…判断能力が著しく不十分 補助…判断能力が不十分な場合 状態に応じて家庭裁判所が決定します。
■ 成年後見制度を利用するメリット メリット① 不動産取引が適正にできる 後見人が選任されると、 不動産売却 住み替え 賃貸契約 などが法的に有効に行えるようになります。 🐼ぱんだはうすコメント 「後見人がいることで手続きが一気に進むケース多いです。売却代金もきちんと管理されます。」 メリット② 財産の不正利用を防げる 親族でも勝手に預金を動かすことはできません。後見人が帳簿管理を行うため、トラブル抑止に大きく役立ちます。 メリット③ 介護サービスや施設入居もスムーズ 契約行為を後見人が代わりに行えるため、 特養・有料老人ホームの入居 デイサービス契約 などの手続きがスムーズに。
■ 成年後見制度のデメリット・注意点 デメリット① 制度開始後は“財産管理が厳しくなる” 後見制度は「保護」の視点が強く、本人の財産を守るため 家庭裁判所への報告義務があります。 自由な資金移動がしづらくなるという声もあります。 デメリット② 費用がかかる 後見申立て費用(7万〜15万円程度) 後見人への報酬(年間20万〜40万円が一般的) などがかかります。 デメリット③ 相続対策ができない 成年後見制度が始まると、 生前贈与 生命保険の受取人変更 不動産の節税売却 などの「積極的な相続対策」ができなくなる可能性があります。 🐼ぱんだはうすコメント 「“元気なうちに対策しておく”これがいちばんの節税策でもあります。」
■ 事前にできる対策(おすすめ) ● 家族信託(民事信託) 柔軟な財産管理が可能で、相続対策とも相性が良い。 ● 生前贈与 税金・登記費用を含め計画的に行えば効果的。不動産の名義整理にも有効。 ● 遺言書(公正証書) 認知症が進んでしまうと作成不可。早めの準備が◎。
■ まとめ 認知症になると、財産管理は大きく制限され、家族だけでは対応できない手続きも増えます。 成年後見制度は「財産を守る」ために非常に有効ですが、同時に自由度が下がる点にも注意が必要です。 🐼ぱんだはうすからひと言 「後見制度は“守る制度”。攻めの相続対策は元気なうちに! まずは家族で話し合うところから始めましょう。」