兄弟が相続を放棄した場合の影響|相続順位・代襲相続・不動産の行方まで徹底解説
相続では「兄弟が相続放棄したらどうなるの?」という相談が実務でも非常に多いテーマです。特に不動産が関わるケースでは、誰が相続人になるのか、固定資産税の負担はどうなるのか、遺産分割はやり直しになるのかなど、理解しておくべきポイントが多数あります。 本記事では、相続順位の仕組みから、代襲相続や不動産の処理、さらにはよくあるトラブル例まで、実務の現場目線でわかりやすく解説します。
■ 1. 兄弟が相続を放棄すると、誰が相続人になる? まず大前提として「相続放棄をした人は最初から相続人でなかった扱い」になります。 ● 兄弟が相続人になるケースは限定的 被相続人(亡くなった人)の 配偶者・子ども・父母など上位順位がいない場合 にのみ、兄弟が法定相続人になります。 ● 兄弟が相続放棄した場合の基本ルール 兄弟が相続放棄すると、次のように扱われます: 放棄した兄弟は「初めから相続人でない」扱い 放棄した兄弟の子(甥・姪)に相続権は移らない → ※兄弟姉妹の代襲相続は“子まで”で終了するため、放棄すると権利は消滅 他の兄弟で遺産を分ける 全員が放棄した場合は、祖父母・叔父など上位親族に相続権が移る
■ 2. 不動産がある場合の影響は大きい ● 兄弟の一部のみが放棄した場合 残った兄弟で不動産を共有する形になります。 共有名義は管理・売却の合意が大変 → 売却には全員の同意が必要 → 将来の相続でもまた共有が増える ぱんだはうすでも、このパターンが一番揉めます。 ● 全員が放棄した場合 不動産の所有者が決まらず、家庭裁判所が「相続人不存在」の手続きを行うこととなり、 最終的には国庫に帰属することもあります。 しかし、その間も 固定資産税は誰も払わず放置 → 「未納」扱いになる ため、実務対応が非常に複雑になります。
■ 3. 相続放棄しても「管理義務」は残る 勘違いされがちですが、 ❌ 放棄すれば何もしなくていい ではありません。 ✔ 相続放棄後も「相続財産の管理義務」がある 兄弟が放棄したとしても ・空き家の雨漏り ・近隣への被害 ・庭木による越境 などについては、次の相続人へ財産を引き渡すまで管理義務があります。 ぱんだはうす実務: 相続放棄しているのに「空き家の苦情が自分に来るのはおかしい」と怒る方がいますが、法律上は全くおかしくありません。
■ 4. 兄弟が相続放棄した時に発生しやすいトラブル ● ① 不動産が放置状態に 固定資産税や管理責任の所在が曖昧になり、行政からの指導が入るケースもある。 ● ② 遺産調査が進まない 放棄した人も戸籍提出協力が必要になることが多い。 ● ③ 相続人が遠方に散らばり連絡が取れない 結果、空き家問題へ発展。 ● ④ 相続放棄した兄弟からの「遺産の口出し」 法的には無関係でも、家族トラブルの原因になりやすい。 ■ 5. 実務での最適解:放棄か代襲相続の確認か 兄弟が相続放棄する際は、次を必ず確認すべきです。 他に相続人は誰になるのか 不動産があるか 管理・売却は誰が行うのか 固定資産税は誰が負担するのか 生前の借金・保証人リスクは? 中でも 不動産の処理が決まらないまま全員が相続放棄するのは最悪のパターン です。 不動産は「権利者がいないまま放置」が最も危険で、解体費や管理義務が後で大きな問題になって戻ってきます。
■ まとめ 兄弟が相続放棄をすると、 ・相続人の構成が大きく変わる ・不動産は残った相続人へ集中する ・全員放棄なら相続人不存在の手続きへ ・放棄後も管理義務が残る という重要な影響があります。 特に不動産がある場合は、 「放棄して終わり」ではなく「誰が処理するのか」 が最も重要なポイントです。 迷った場合は、司法書士・弁護士・不動産会社(ぱんだはうす)への早めの相談が最も安全です。