☆借金の相続問題|連帯保証・住宅ローンの扱い

借金の相続問題|連帯保証・住宅ローンはどうなる?実務で最も誤解されるポイントを徹底解説

相続と聞くと「財産をもらう」イメージが強いですが、 実務で最もトラブルが多いのは “借金も相続される” 点です。 特に、 住宅ローン カードローン 事業用借入 連帯保証債務 など、負債の種類によって扱いが全く異なり、手続を誤ると 莫大な支払義務 を負ってしまうケースもあります。 本記事では、司法書士・不動産業者の現場でよく相談される 借金の相続問題の本質 を、法律と実例の両面から詳しく解説します。

 

■ 1. 借金は相続の対象になる(全て承継される) 民法上、相続では「財産」と「負債」はセットで承継されます。 つまり、 住宅ローン 事業融資 カードローン 税金の滞納金 連帯保証人としての保証債務 これらすべてが 相続人全員に引き継がれる 可能性があります。

 

■ 2. 住宅ローンは団信の有無で扱いが変わる ● ① 団体信用生命保険(団信)加入の場合 被相続人が亡くなった時点で 住宅ローンが完済される。 これが「団信」の最大の特徴です。 しかし注意点として、 滞納中だと保険金が下りない 団信未加入のローンもある 共有名義ローンは、亡くなった方の持分だけ保険適用 ペアローンは夫婦別契約 など、金融機関によって実務が大きく異なります。 ● ② 団信未加入の場合 通常の借金と同様に 相続対象 となります。 返済できない場合は後述の 相続放棄・限定承認 が必要。

 

■ 3. 連帯保証債務は特に要注意(最強に重たい債務) 最も現場でトラブルになるのが 連帯保証 の承継です。 親が友人の借金の連帯保証人になっていた 夫が会社の借入の保証人だった 自営業者が事業融資の保証人だった これらはすべて「保証債務」であり、 相続人がそのまま引き継ぐ ことになります。 ● 重要ポイント 借金の返済状況に関わらず、保証債務は「無限に膨らむ可能性」があります。 だからこそ、 相続放棄を検討すべき最も大きな理由 が“連帯保証”と言っても過言ではありません。

 

■ 4. 相続人が借金を支払わない方法は3つ 借金ごと相続すると危険な場合、次の3つの方法があります。 ● ① 相続放棄 借金だけでなく、財産もすべて放棄する 手続。 家庭裁判所に申立てを行う。 【期限】 被相続人の死亡を知ってから 3か月以内(熟慮期間) 【メリット】 借金を完全に引き継がない 連帯保証債務も免れる 【デメリット】 財産も相続できない 他の相続人へ負担が移る ● ② 限定承認 「マイナスよりプラスが多い場合だけ」相続する制度。 【ポイント】 相続人“全員”の合意が必要 → 実務ではハードルが高い 不動産などを売却し、借金を返済して残れば受け取れる ● ③ 連帯保証からの離脱は不可 実務上、「相続前に保証人を解消したい」という相談は多いですが、 金融機関が許可しない限り 任意解除はできません。

 

■ 5. 不動産が絡むとさらに複雑(実務で多い失敗) ● ケース1:ローン付きの家を相続した → 返済できない場合、売却して返済(任意売却)が必要 → オーバーローンなら専門家との連携が必須 ● ケース2:親が保証人で家を持っていた → 保証債務の額が確定するまで不動産を売れないケースもある → 限定承認が有効となる場面も多い ● ケース3:相続放棄したのに住み続ける → 無償で住めば“利益を受けた”と判断され無効になる可能性 不動産相続と借金が重なると、専門家(司法書士・弁護士・不動産業者)の連携が最重要です。

 

■ 6. ぱんだはうすからの実務アドバイス 不動産×借金の相続は、 最もリスクが高い相続ジャンル と言えます。 特に、 団信の確認 金融機関への照会 連帯保証の調査 滞納有無の確認 名義変更の可否 早期売却の必要性 など、「情報が不確定のまま動くと危険」です。 → まずすべきことは 被相続人の借金を一覧化 団信の加入状況を確認 保証人になっているか調査 相続放棄の期限(3ヶ月)を厳守

 

■ まとめ 借金は「財産がプラスでもマイナスでも、そのまま受け継ぐ」点が相続の最大の特徴です。 住宅ローン 連帯保証 事業債務 これらは特に慎重な判断が必要。 不動産が絡む場合、 早期相談こそ最大のリスク回避 となります。

2025年12月13日