実家を長男が相続する時代は終わった?|現代相続のリアルと分割の新常識
かつての日本では、「実家は長男が継ぐ」という家制度の名残が強く、相続=長男が承継という価値観が広く共有されていました。しかし現代では、家制度は完全に廃止され、法律上も実務上も“長男だから相続する”という決まりは一切存在しません。 むしろ現在の相続現場では、 ◆ 実家を誰も継ぎたがらない ◆ 相続人全員が平等に分け合うのが基本 ◆ 空き家問題や固定資産税負担が重くのしかかる という方向に変化しています。 ここでは、なぜ「長男が相続する時代」が終わり、どのような分割方法が主流になりつつあるのかを詳しく解説します。
■ 1. 長男が実家を相続する前提が崩れた理由 ● ① 兄弟間の「公平さ」の重視 現代では、教育・生活水準の向上により、兄弟姉妹の間で平等な取り分を求める意識が強くなっています。 「長男だから多く相続して当然」という価値観が通用しない 実家を相続する場合は“代償金”がセットになることが多い このため、長男が無償で実家を引き継ぐケースは減少しています。 ● ② 核家族化で「家を守る」文化が消失 祖父母と同居する三世代家族が減り、自宅に対する「家系の象徴」としての価値が薄れました。 実家を継ぐメリットよりも、負担(管理・修繕・税金)が大きいことが問題視されています。 ● ③ 長男が遠方に住んでいる 地方の実家 × 都市部で就職した長男 という構図が増え、実家を維持するのが現実的ではなくなりました。 ● ④ 相続=兄弟全員の権利という法律意識の浸透 民法では、長男・長女など区別なく、すべての子が平等な法定相続分を持ちます。 この意識が一般家庭にも浸透し、「実家=長男のもの」という時代ではなくなったのです。
■ 2. 実家を長男だけが相続すると起きやすいトラブル ● ● ① 「不公平だ」という感情トラブル 代償金の支払いがないと、他の相続人の不満が高まりやすく、 遺産分割協議がまとまらなくなる原因に。 ● ● ② 長男が実家維持に疲弊 実家には以下の負担がつきものです。 固定資産税 修繕費(屋根・外壁・配管など) 空き家リスク 「継いだけれど使い道がない」「遠方で管理できない」など、長男側の負担が重い。 ● ● ③ 実家が売れない・共有のまま放置される 長男が継ぐという合意ができず、 共有のまま10年20年と放置されるケースが増えています。 これは売却・賃貸・解体の決定ができず、将来の大問題につながります。
■ 3. 現在の主流は「実家を誰が継ぐかを“話し合って決める”」時代 現代の相続で増えている分割方法は次の3つです。 ● ① 長男(または別の子)が相続+代償金で調整 実家を取得する代わりに、他の相続人へ現金を払って公平を保つ方法。 最もトラブルが少ない。 ● ② 実家を売却して現金で分ける 「誰も住まない」「使う予定がない」場合に急増。 空き家問題への意識からも現実的。 ぱんだはうすでも、こうした売却相談は非常に多いです。 ● ③ 家族信託または遺言で事前に指定 親が元気なうちに、 実家の処分方針 誰が相続するか 維持費の負担 を決めておくことで争いを防止できます。
■ 4. 実家を長男が継ぐことのメリット・デメリット ■ ■ メリット 実家が誰か一人の名義になり管理しやすい 祖父母から続く家を守れる 親の介護を近くで支えていた場合、合理性がある ■ ■ デメリット 経済的負担が大きい 他の兄弟との公平性が問題になる 独身・子なしの場合、その次世代で再度空き家化する可能性 長男が継ぐこと自体に問題はありませんが、従来の「長男だから当然」という考え方は通用しなくなっています。
■ 5. ぱんだはうす的アドバイス|実家は“感情”と“資産”の両面で考えるべき 実家は、感情的な思い入れと資産としての価値が混在する非常にデリケートな財産です。 ぱんだはうすとしては、 まずは売却可能性 維持費の試算 今後10年の空き家リスク を明確にし、“負担”と“想い”のバランスをとった相続をおすすめしています。 「実家=長男」という固定観念がなくなった今こそ、 家族で柔軟に話し合い、今後の生活に合った選択をすることが大切です。