オーバーローンと相続|住宅ローン残債が資産価値を超えるときの対処法
親が残した自宅を相続しようとしたとき、「住宅ローンの残高が、家の価値より高い」 というケースが増えています。 これがいわゆる オーバーローン(債務超過状態) です。 オーバーローンの不動産を相続すると、相続人はプラスの財産よりも“借金のリスク”を背負う可能性があります。 特に住宅ローンが残っている相続では、相続放棄・限定承認・任意売却・競売回避 など、慎重な判断が必要です。 ここでは、オーバーローンの相続で起こり得る問題と、取るべき対策をわかりやすく解説します。
■ 1. そもそも「オーバーローン」とは? オーバーローンとは 不動産の市場価値より住宅ローン残債が多い状態 を指します。 自宅の査定価格:1,500万円 住宅ローン残高:2,200万円 このようなケースでは、売却しても差額700万円の借金が残ります。 相続でも同じで、ローン残債ごと引き継ぐかどうか が問われます。
■ 2. 相続で住宅ローンはどうなる? 実は、住宅ローンは「相続放棄すれば引き継がない」ことができます。 ただしここで重要なのが、 住宅ローンは「担保付き債務」であること。 銀行としては 返済が止まれば抵当権に基づき不動産を売却 売却額では足りない場合は相続人に請求可能(相続した場合) という流れになります。 ただし 団体信用生命保険(団信)が使えるかどうか が最重要ポイントです。
■ 3. 団信が使えるか必ず確認する 住宅ローン契約者の死亡時、団信に加入していれば残債はゼロになります。 ● 団信が「使える」場合 ➡ ローンは完済扱い、不動産はプラスの資産となる。 ➡ 相続人は不動産をそのまま取得してOK。 ● 団信が「使えない」場合 健康上の理由で未加入 別借入、事業用ローン、金融公庫ローンなど団信対象外 滞納中で保険金が出ない ➡ オーバーローンの不動産をそのまま相続すると借金を負う可能性。 必ず金融機関に 団信保険金請求の可否確認 を行いましょう。
■ 4. オーバーローン不動産を相続するリスク ● ① ローン残債をそのまま引き継ぐ 法定相続すると、住宅ローン残債が相続人全員の債務になります。 ● ② 住み続ける場合でも返済は継続 相続後も返済可能か検討が必要。 ● ③ 売却が難しい 売却してもローンが残るため、 任意売却 追加資金の用意 金融機関との交渉 などが必要。 ● ④ 滞納すると競売 競売にかかると市場より低価格で売れるため、 残債がより多く残る最悪のケース。
■ 5. 相続で選べる3つの方法 ① 相続放棄(借金を一切引き継がない) 不動産も借金も相続しません。 ただし「住み続ける」こともできなくなります。 プラスよりマイナスが多いときの王道 3か月以内に家庭裁判所で手続き必須 ② 限定承認(プラスの範囲で債務を返済) 相続財産の範囲内でのみ債務を返済する制度。 プラス資産より借金が多い場合に有効。 相続人が複数なら“全員の同意”が必要 手続きが複雑だが、オーバーローン相続では有効な選択肢 ③ 相続して「任意売却」する 相続はするが、金融機関と協力して市場価格で売る方法。 競売よりはるかに高く売れるため、残債を減らせます。 競売回避 引越し費用の相談ができることも 不動産価値がローンの8〜9割なら選ばれるケースが多い
■ 6. 実家が空き家化してローン滞納すると負債が膨らむ 相続人が誰も住まない場合、 固定資産税 管理費 修繕費 などを負担しながら、ローン返済も必要になります。 放置すると滞納→競売の流れになり、結果的に残債が増えるだけです。
■ 7. オーバーローン相続の最適解はケースで異なる ● 団信が出れば → 相続してOK ● 団信が出ない&マイナスが大きい → 相続放棄 ● 不動産価値がある程度ある → 任意売却 ● 特殊ケース(事業用・複雑な負債) → 限定承認 不動産の査定、ローン残債、相続人の意向を総合して決める必要があります。
■ ぱんだhouseのひとこと オーバーローンの相続は、「早めの不動産査定」 が何より重要です。 査定なしで判断すると、 実は売却できたのに放棄した 放棄したのに負債は少なかった 競売にして損をした といった失敗が起きます。 ぱんだhouseでは、 任意売却・空き家活用・ローン整理・相続対策 まで含めた総合的アドバイスが可能です。 迷ったらまずご相談ください。