☆相続放棄の落とし穴と注意点

相続放棄の落とし穴と注意点|“放棄すれば安心”ではない相続の現実

相続放棄と聞くと 「借金を背負わなくて済む最も安全な方法」 と思われがちですが、実際には 重大な落とし穴や誤解 が多く存在します。 特に、負債のある不動産やオーバーローン物件が関係する場合、 放棄すればすべて解決するとは限りません。 本記事では、相続放棄を選択する前に必ず知っておくべき 注意点・リスク・正しい手続きのポイント を解説します。

 

■ 相続放棄とは? 相続放棄とは、 相続人としての権利も義務もすべて最初からなかったものにする制度。 負債を背負いたくない場合に有効ですが、 誤った理解のまま手続きするとトラブルに発展します。

■ 落とし穴①|不動産の管理責任は“放棄前”にも発生する 相続放棄をすれば不動産の管理責任から解放されますが、 実は 放棄が受理されるまでの期間(通常1〜3か月程度)は、 相続人に「管理義務」が残ります。 例えば… 空き家の倒壊 雨漏り放置による周辺被害 庭木の越境 ゴミ屋敷化 などが発生すると、損害賠償責任を問われることもあります。

■ 落とし穴②|“次の相続人”にしわ寄せが発生する 相続放棄をした場合、 法定相続順位が次に移り、別の親族へ負担が移動します。 よくある例: 子どもが全員相続放棄 → 父母へ相続権が移る さらに相続放棄 → 兄弟姉妹へ 兄弟が放棄 → 甥や姪へ 全員が拒否 → 行政へ(最終的に国庫) → 親族間のトラブルを招く典型パターン 特にマイナス財産が多い相続では、 “誰も相続したくない”問題が連鎖するため注意が必要です。

■ 落とし穴③|相続財産を触ると「単純承認」扱いに 相続放棄は 一度でも財産を使うと無効になる場合があります。 例えば… 被相続人の預金を引き出す 保険金以外の財産を勝手に整理 不動産の修繕をする 車を処分する これらを行うと「財産を相続する意思があった」とみなされ、 相続放棄できなくなるリスクがあります。

■ 落とし穴④|相続放棄しても“連帯保証”は消えない 親が事業の連帯保証人になっている場合、 債務の種類によっては相続放棄しても責任が残る場合があります。 → 事前に借入契約を確認しないと非常に危険。

■ 落とし穴⑤|相続放棄は“やり直し不可” 一度相続放棄が家庭裁判所に受理されると、 原則として取り消しができません。 「不動産がプラスだったと後から判明した」 「株式の価値が上がっていた」 といったケースでも戻すことはほぼ不可能です。 → 財産調査を徹底する必要があります。

 

■ 相続放棄の注意点まとめ ◎ 1. 放棄までの管理責任は残る 雨漏り対策や庭木の管理は必要。 ◎ 2. 負担が“次の相続人”へ移動する 親族トラブルの原因に。 ◎ 3. 財産に手を付けると放棄できなくなる ◎ 4. マイナスの財産だけでなく“プラスの財産”も失う ◎ 5. やり直しはできない

 

■ 相続放棄より限定承認が適するケースも多い 相続放棄は確かに強力な選択肢ですが、 不動産を残したい 事業を継承したい プラスかマイナスか判断が難しい オーバーローンだが家を手放したくない といった場合は、限定承認の方がメリットが大きいこともあります。 ぱんだhouseでは、 「相続放棄すべきか」「限定承認すべきか」の判断材料を 不動産評価をもとにご提案しています。

2025年12月13日