☆他界した親の家を兄弟で共有するリスク

他界した親の家を兄弟で共有するリスク|相続後に起きる“典型トラブル”と回避策

親が亡くなり、実家を兄弟で共有名義にすることは珍しくありません。 しかし、不動産の専門家として断言できるのは—— 「共有」は相続トラブルの原因になりやすく、解消にもっとも苦労する選択肢である ということです。 相続人同士の関係が良くても、 時間が経つほど意見が割れ、不動産は動かせず、 売却・賃貸・担保設定などあらゆる判断が止まってしまいます。 このコラムでは、 共有名義の何が危険なのか、どんなリスクが発生するのか、 どうやって共有状態を解消すべきか を実務経験から詳しく解説します。

 

■ そもそも「共有名義」とは? 共有名義とは、ひとつの不動産を複数人で割合を決めて所有する形。 相続ではよくある形ですが、実は法律上の制約が非常に多く、 管理・売却・修繕のたびに “全員の同意” が必要になります。

 

■ 兄弟で共有すると起きる5大リスク

① 売りたくても売れない(合意できず不動産が塩漬け) 共有名義の最大の問題は、 売却に共有者全員の同意が必須であること。 兄は売りたい 妹は住み続けたい もう一人の兄弟は放置したい このような状況になると、 1人の反対で売却は不可能になります。 相続後10年以上実家が動かず「空き家化」するケースは非常に多いです。

② 固定資産税・修繕費の負担割合で必ず揉める 共有名義では、 固定資産税は持ち分割合に応じて支払う必要があります。 しかし実務では、 兄が払ってるのに弟は払わない 払った分を返してくれない 修繕費(屋根・外壁)を誰も出したがらない 誰かが勝手にリフォームして後で請求してくる というトラブルが頻発。 結局「誰か1人だけが損をする構図」 になりがちです。

③ 共有者の配偶者・子どもまで巻き込まれて複雑化 共有者が亡くなると、 その持ち分はさらに次の相続人へ受け継がれます。 例:兄弟3人 → その後配偶者&子へ相続 → 気づけば相続人10名以上 共有者が増えるほど… 誰がどの持ち分か不明 連絡が取れない相続人が出る 海外在住で手続き困難 調整だけで一年以上かかる という無限ループに陥ります。 実家の売却や解体がほぼ不可能になります。

④ 誰か1人が勝手に住む問題(使用料請求トラブル) 兄弟のうち1人が住み続けるケースも多いですが、 その場合は他の共有者に“使用料(家賃)を支払う義務”が発生します。 しかし現実は… 無料で住み続ける 他の兄弟から「不公平」と不満 使用料を巡り裁判になり関係悪化 というトラブルがよく起きます。

⑤ 一部の共有者だけで勝手に決められない 共有名義では、 物件を貸す 物件を売る 担保に入れる 大規模修繕する など、ほとんどの行為に全員の同意が必要です。 たった1人の反対で何も進まず、 不動産の価値が下がり続ける悪循環に陥ります。

 

■ 共有状態を続けるメリットはほぼゼロ 共有名義が選ばれる理由の多くは とりあえずその場しのぎ 手続きが簡単だから 誰も実家を欲しがらない 遺産分割がまとまらない ですが、長期的にはデメリットしかありません。 専門家としては、 共有は“相続トラブルの引き金”になる最悪の選択肢と考えています。

 

■ 共有を避ける・解消する方法(3つの合理的選択肢) ① 誰か1人が相続 → 他の兄弟へ代償金を支払う もっともスムーズで、後々揉めない方法。 実家を1人が相続 他の兄弟へ代償金(相続分の清算)を支払う これで共有は発生せず、 不動産の管理責任も明確になります。 ② 実家を売却して現金で分ける(分割しやすい) 売却して現金化すれば、 兄弟間の公平性がもっとも保たれます。 不動産 > 現金 現金は分けやすい トラブルが少ない 共有を避けたい人が最も選ぶ方法です。 ③ 家族信託で管理権限をまとめる 兄弟間の合意があれば、 家族信託によって“管理者に権限を集中”させることも可能。 売却 賃貸 修繕 など、管理がスムーズに進むようになります。

 

■ まとめ:共有名義は「相続トラブルの温床」。早期解消が鍵 共有のまま10年・20年放置すると、 ほぼ確実に問題化します。 ✔ 売れない ✔ 解体もできない ✔ 税金だけ払い続ける ✔ 管理者不在で荒れる ✔ 子どもの代まで揉める 相続実務では、 「共有の解消」こそ最大の対策です。 ぱんだhouseでは、 相続人調査・不動産評価・代償金の算定・共有解消相談まで ワンストップで対応可能です。

2025年12月13日