☆相続税評価額と実勢価格はなぜ違う?

相続税評価額と実勢価格はなぜ違う?|不動産評価の仕組みを徹底解説 不動産を相続するときに必ず出てくる疑問が 「相続税評価額と実勢価格ってなんでこんなに違うの?」 という点です。 とくに土地の場合、 相続税評価額:2,000万円 実勢価格:3,000〜3,500万円 というように、大きな差が生まれることが一般的です。 この記事では、 なぜ評価額に差が生じるのか、その仕組み・実務への影響・節税にも関わる重要ポイントを、専門家視点で分かりやすく解説します。 ぱんだhouseで実際に相談を受ける際にも、“評価額と売却価格の違い”はほぼ毎回出てくるテーマです。まずは、それぞれの意味から整理しましょう。

 

1. 相続税評価額とは?|税金計算のための“公的な基準値” 相続税評価額とは、国税庁が相続税を計算するために用いる公的な評価額のこと。 市場での売買価格ではなく、税負担の公平性を保つための基準値です。 ■ 土地は「路線価方式」または「倍率方式」 路線価方式:主要道路に面した土地に価格が設定 倍率方式:固定資産税評価額×一定倍率 これらはいずれも、実勢価格より低めに設定されるよう制度的に設計されています。 ■ 建物は「固定資産税評価額」を基準に算出 建物は再建築価格の60〜70%となることが多いため、こちらも間違いなく実勢より低い金額です。

 

2. 実勢価格とは?|市場の需要と供給で決まるリアルな取引価格 実勢価格とは、実際に市場で売買される価格のこと。 購入希望者がどのくらい存在し、売主がどの価格で売りたいかというリアルな市場価値によって決まります。 市場要因は常に変動 近隣エリアの人気度 築年数・間取り・リフォーム状況 周辺の開発 金利の動向 投資需要 これらの要素が組み合わさり、リアルタイムに変動する価格が実勢価格です。

 

3. 相続税評価額と実勢価格が違う“構造的な理由” ① 評価の目的が別物だから 相続税評価額 → 税金計算のための「安定価格」 実勢価格 → 実際に売れる「市場価格」 目的が違うため、同じになる方がおかしいのです。 ② 相続税評価は“安全側(低め)”に作られている 相続税の負担が市況によって急に変わらないよう、 市場価格の80%程度を目安に設定されています。 とくに地価が急騰する都市部では、 「評価額=実勢の6割」ということも珍しくありません。 ③ 評価額は年1回の更新、市場価格は毎日変動 相続税評価額は1年に1回しか変わりません。 しかし実勢価格は毎日のように上下します。 例: 2023年に相続 → 2024年に地価が上昇 → 売却価格は実勢で上がる = 相続税評価額との差がさらに開く ④ 個別事情が評価額に反映されない 相続税評価額は「標準的な土地」を基準にしています。 しかし実勢価格は物件固有の特徴で大きく変わります。 例: リフォーム済み → 実勢価格アップ 崖地・旗竿地 → マイナス評価 日当たり・騒音 近隣トラブルの有無 評価額は平均値、実勢価格は“個性”が反映されます。

 

4. 差が大きいことは損?得?|相続の実務での判断ポイント ■ 相続税評価額 < 実勢価格 → ほとんどのケースがこちら ● メリット 相続税が安くなる ● デメリット 高額で売れると“譲渡所得税”がかかる場合あり 兄弟間で「本当の価値はいくら?」と揉める可能性 ■ 相続税評価額 ≒ 実勢価格 → 市街地の一等地など、稀に一致しやすい メリットもデメリットも少ないバランスの良い状態。 ■ 相続税評価額 > 実勢価格 → 過疎地域・災害地域で起きやすい ● デメリット 相続税評価額が高いのに実勢では売れない 結果的に損をする これは実務上「負動産問題」の代表例です。

 

5. ぱんだhouseの現場で多い相談は? 実際のところ、 「評価額より高く売れた」 という相談が最も多いです。 なぜなら、 ・都市部の地価上昇 ・空き家化による売却ニーズ増 ・新築高騰による中古人気 などにより、実勢価格が全体的に上がっているからです。 逆に、 ・郊外 ・山間地域 ・需要が弱いエリア では評価額とのギャップが大きく、相続人が困るケースもあります。

 

6. 正しい判断には“両方の価格を知る”ことが重要 相続税対策 → 評価額 売却判断 → 実勢価格 どちらも意味が違うため、双方を理解して把握することが必須です。 ぱんだhouseでは ● 相続税評価額の算出サポート ● 実勢価格の無料査定 の両方を行っており、差が大きい場合のアドバイスも可能です。

2025年12月13日