相続税の延滞金・加算税の仕組み|期限後申告で何が起きる?徹底解説
相続税の申告は、 「相続開始から10か月以内」 が原則。 期限を過ぎてしまうと、 申告漏れや納付遅れに対して 延滞税・加算税 といったペナルティが課されます。 ぱんだhouseでも、 「気づいたら期限を過ぎていた」「不動産の評価に時間がかかった」 という相談が毎年あります。 本記事では、相続税の延滞金・加算税の仕組み、適用されるケース、回避のコツまで徹底的に解説します。
1. 延滞税とは?|“納付が遅れた”ことによるペナルティ 延滞税(延滞金)は、 相続税を期限までに納付できなかった場合に発生する“利息的なペナルティ”です。 ■ 延滞税の税率(最新制度の基本ルール) 延滞税は以下の2段階で計算されます。 ① 期限後2ヶ月以内:年7.3%または特例基準割合+1% → 低い方が適用 ※低金利の現在は 2〜3%台 が多い ② 2ヶ月を超える場合:年14.6%または特例基準割合+7.3% → 同じく低い方が適用 ※通常 8〜9% 程度 金利が高い昔よりは下がっていますが、 それでも長期間放置すると負担が重くなります。 ■ 延滞税は“1日単位で加算” 100万円の相続税を120日遅れた場合 → 数万円単位の延滞税が発生することも。
2. 加算税とは?|“申告しなかった”ことへのペナルティ 延滞税が“納付遅れ”への罰則なのに対し、 加算税は“申告しなかった”ことへの罰則です。 3種類の加算税 ① 無申告加算税(最も多いケース) 相続税を期限までに申告しなかった場合に課される。 ■ 税率 ● 50万円以下の部分 … 15% ● 50万円を超える部分 … 20% ■ 軽減措置(10%になる) 以下の条件を満たすと税率が 10% に減額されます。 自主的に期限後申告した 税務署から指摘される前 隠蔽や仮装がない → 自分から動くことが重要。 ② 過少申告加算税 期限内に申告したが、 税務署の指摘により税額が増えた場合に課される。 ■ 税率 通常 10% 増えた税額が大きい場合は 15% ③ 重加算税(悪質な場合) 財産を隠した 名義預金を隠蔽 不動産の価値を故意に低く申告 など、“仮装・隠蔽”があった場合に課される重いペナルティ。 ■ 税率 無申告の場合:40% 過少申告の場合:35% ※相続では被相続人の預金隠しが疑われ、 重加算税になるケースが増加傾向です。
3. 延滞税と加算税は“併用される”こともある 例: 申告もしなかった(無申告加算税) 納付もしなかった(延滞税) → 両方のペナルティが同時に発生。 そのため申告期限から長く経つほど、 合計の納付額が大きく膨らみます。
4. よくあるケーススタディ ケース①:不動産の評価が遅れて期限後申告に…(最も多い) 路線価評価が複雑 未登記建物があった 共有持分が解決できなかった → 自主的に期限後申告をして10%の無申告加算税へ軽減 → 延滞税も2ヶ月以内なら負担は軽め ケース②:相続人が多く遺産分割の話し合いが長引く 遺産分割が決まらなくても、 とりあえず“未分割のまま申告”すればペナルティを防げます。 これを知らず期限を過ぎてしまうケースが非常に多いです。 ケース③:預金を移動していて重加算税の対象に… 生前に名義を変えていた 多額の引き出しがある 帳簿に記録がない → 税務署に発見されると 35〜40% の重加算税。 専門家への早期相談が必須です。
5. ペナルティを避けるための“3つの鉄則” ① とりあえず申告する(未分割でもOK) 分割協議が終わっていなくても、 「とりあえず申告」=ペナルティ回避 が可能。 ② 納税が難しいときは“延納・物納”を使う 延納:分割で支払える 物納:不動産で税金を納める ※条件あり。早めに申請が必要。 ③ 相続発生から2〜3ヶ月以内の専門家相談が理想 不動産評価・戸籍収集・財産調査は時間がかかります。 早めのスタートが最も有効な節税です。
ぱんだhouseのコメント 延滞税や加算税は、 「知らなかった」では済まされないペナルティです。 しかし、 早く申告すれば軽減できる 未分割でも申告できる 専門家と動けば間に合う など、対策できる方法も多数あります。 相続税の期限や評価方法に不安がある方は、 早期にご相談ください。