☆親名義のまま住み続けるリスク

親名義のまま住み続けるリスク|相続トラブルを防ぐための重要ポイント

「親の家にそのまま住み続けているけれど、名義変更は後でいいだろう…」 こう考える方は少なくありません。しかし、親名義の家に住み続けることには大きなリスクが潜んでいます。 特に相続では、 「名義の放置=高確率でトラブルの原因」 と専門家の間でも常に指摘されています。 本コラムでは、親名義のまま放置すると何が起こるのか、実務に基づいて徹底解説します。

 

1|親名義のまま住み続ける最大のリスクとは?

① 親が亡くなった瞬間、家が“すぐに使えない財産”になる 親が他界すると家は相続財産となり、 相続人全員の共有状態になります。 つまり ― ✔ あなたが住んでいても勝手に売れない ✔ 修繕・建て替えも全員の同意が必要 ✔ リフォームすらトラブルの火種に 生活の安定のためにも、所有者が明確であることは必須です。

② 兄弟から「不公平」と言われるリスク 親名義の家に長く住んでいると、ほぼ必ず言われるのが… 「家に住んでるんだから、それはあなたの取り分でしょ?」 という主張。 評価額が高い家ほど、 他の相続人の不満・不公平感が強烈に出る傾向があります。 特に兄弟が多い家庭では相続分割の話し合いが難航します。

③ 法定相続分どおりに分けられず“争族化”する 親名義のままにしておくと、相続時には全員の合意が必須です。 しかし実際には… 兄弟の一人が反対 連絡が取れない相続人がいる 配偶者(義理の兄弟)が口を出して混乱 このように遺産分割協議が進まないケースは非常に多いです。

④ 不動産の売却・建て替えがストップする 家を売りたい、建て替えたいと思っても、 相続人の一人でも反対→不可能 共有状態→融資や建築確認が通りにくい 書類手続きが複雑化 名義を放置すると、 「住む・売る・貸す」すべてに制限がかかるというのが現実です。

⑤ 固定資産税・修繕費の負担で揉める 親が管理していた家の費用を、 誰がどの割合で負担するのか明確でなくなります。 その結果、 固定資産税を払う人が不満を持つ 設備故障の修繕費を巡り争う 管理状態が悪くなり家自体の価値が低下 など、長期的に大きな損失を生むことがあります。

⑥ 空き家リスクが増大する 親が施設に入ったり、あなたが住まなくなった場合、 名義のままだと売却・賃貸の手続きが難航します。 結果として、 空き家化 管理不全 近隣トラブル 罰則(空家対策特措法) など、行政リスクまで広がります。

 

2|リスクを防ぐために必要な“3つの対策” ① 親が元気なうちに名義の将来を話す 避けるべき思考: 「縁起でもないから話さない」 現実は逆で、 話さないことこそ大きなリスクです。 家の扱いは最低限、次の点を決める必要があります。 誰が住み続けるのか 名義はどうするか 他の兄弟への代償金はどう調整するか ここを曖昧にすると必ず争います。 ② 遺言書または家族信託で明確にする 親が意思表示を残す方法は次の2つ。 ✔ 遺言書(公正証書遺言が安全) 「家は長男に相続させる」などを明確に記載。 最も一般的で法的に強い。 ✔ 家族信託(財産管理が必要な場合) 認知症対策・施設入居後の家の売却など、 遺言書ではできない管理も可能。 不動産の名義管理で最も柔軟なのが家族信託です。 ③ 必要に応じて生前贈与を活用する ただしデメリットもあるため注意点: 不動産取得税が発生 登録免許税が高い 親の生活費が不足するリスク 3年以内贈与は相続財産に加算 メリット・デメリットを理解し、 専門家に相談してから行うのが確実です。

 

3|ぱんだhouseがよく受ける相談内容 不動産の現場で多い相談は以下です: 「兄弟が反対して家が動かない」 「住んでいるのに名義が親のまま」 「売却しようと思ったら相続人が10人いた」 「固定資産税をめぐり兄弟ともめている」 こうしたケースのほぼ全てで、 名義放置が問題の根本原因です。 所有者を明確にすることは、 家族の関係を守り、財産価値を守るための第一歩です。

2025年12月13日