代襲相続で遺産分割が複雑になる理由｜兄弟姉妹・孫が関係する相続リスクとは

相続相談で増えているのが 「代襲相続（だいしゅうそうぞく）」が絡む遺産分割の複雑化 です。 代襲相続とは、 本来相続するはずの相続人が死亡している場合に、その子どもが代わりに相続人となる制度 のこと。 一見シンプルに見えますが、実務では相続人が一気に増えたり、遺産分割協議がまとまらなくなる原因になることが非常に多いのです。 この記事では、なぜ代襲相続が遺産分割を複雑化させるのか、その理由と具体的な解決策を不動産専門家の視点で詳しく解説します。

 

■ 代襲相続が発生する典型的なケース ① 子どもが親よりも先に亡くなっている場合 例：父が亡くなったが、長男はすでに死亡 → 長男の子（孫）が代襲相続人。 ② 兄弟姉妹が先に死亡している場合 被相続人に子がいない場合、兄弟姉妹が相続人になりますが、 その兄弟姉妹が死亡していると、その子（甥・姪）が代襲相続します。 ③ 孫・ひ孫まで広がるケースもある（再代襲相続） 長男 → 長男の子 → 長男の孫 と、連続して代襲相続が起きることもあります。

 

■ 代襲相続で遺産分割が複雑になる理由 ① 相続人が一気に増えて話がまとまらない 親が亡くなっていれば子だけで話ができますが、 亡くなった子の 孫・甥姪 が代襲相続人に加わると、 遠方に住んでいる 交流がない 連絡先が不明 といった事情が重なり、協議が進まなくなります。 ② 法定相続分の計算が複雑になる 代襲相続人は “本来の相続人の取り分を人数で按分する” ルール。 例： 長男の相続分 1/2 を、長男の子3人で分ける → 1/6ずつ これに再代襲が加わると、誰がいくらかを正確に把握するのが困難になります。 ③ 感情的なしこりが表面化しやすい 交流の薄い甥姪に相続権があることへの不満 孫世代が「そもそも会ったこともない親族」と協議するストレス 代襲相続人同士でも意見がまとまらない 相続では金額よりも感情の対立が大きな問題となります。 ④ 不動産があると分割がさらに難航 現金なら按分できますが、不動産は分けられません。 代襲相続人の人数が多いほど… 売却の同意が全員必要 誰も住んでいない“共有名義の空き家”になる 売却して現金化したくても反対者が出る 結果的に不動産が「塩漬け」 になり、固定資産税だけが発生するリスクがあります。 ⑤ 書類の収集が膨大になる 代襲相続が発生すると、 本来の相続人の出生から死亡までの戸籍 代襲相続人全員の戸籍 再代襲があればさらに追加 と、必要書類が非常に多くなり手続きが長期化します。

 

■ 代襲相続が絡む相続での解決ステップ ① 家系図（相続関係説明図）を作る 最優先は、 誰が相続人なのかを100％正確に把握すること。 司法書士や行政書士に依頼するとスムーズです。 ② 相続分の計算を専門家に任せる 代襲・再代襲が絡む相続分計算は複雑です。 誤った計算で協議がやり直しになると更に時間がかかります。 ③ 共有名義を避ける方法を検討 不動産がある場合は、 売却して現金化 代表者1人が相続して他の人へ代償金を支払う（代償分割） 家を引き継ぐ人が固定資産税・維持費を負担する合意を作る など、共有名義を避ける方向で協議するとトラブルが減ります。

 

■ パンダhouseからひとこと（現場でよくある実例） 代襲相続が絡むと、 「相続人が10人以上になる」ケースが珍しくありません。 不動産売却も相続登記も、 1人でも書類に捺印しない人がいれば進まないため、 結果的に空き家放置 → 遺産分割できない → 罰則リスク という悪循環に陥る例を多く見てきました。 代襲相続の可能性があるご家庭は、 早めに相続人の整理・遺言書の作成をおすすめします。