所有住宅をだまし取られた場合の売却手続きと対応の流れ
1. 前提状況 本来の所有者=ご本人 何らかの詐欺や不正な登記手続により、第三者が「所有者のように」見せかけて処分した可能性 現在は第三者が 賃借人として居住中 弁護士へ相談中 👉 この場合、所有権の回復手続きが第一優先になります。 売却を進める前に、自分の名義に正しく戻すことが不可欠です。
2. 主な対応の流れ
(1) 不正登記の有無を確認 登記簿謄本を取得して「所有者欄」が誰になっているか確認 もし他人名義になっていれば「登記抹消」「所有権回復請求」が必要
(2) 民事的対応(所有権回復) 詐欺による登記は「無効」として、裁判で抹消登記請求する流れが一般的 弁護士が「不動産登記抹消請求訴訟」を提起するケースが多い
(3) 刑事的対応(詐欺・文書偽造等) 警察に被害届を提出し、刑事事件として捜査してもらうことも並行して行う
(4) 第三者が賃借している場合 「善意の賃借人」かどうかで扱いが変わる 真実の所有者に無断で貸された場合 → 本来は賃貸借契約自体が無効 ただし借主が善意無過失の場合、裁判で争いになることも 強制退去などは、裁判で所有権を確定させた上で法的手続きが必要
(5) 売却を考える場合 現段階で売却は不可能(登記名義が自分でない/賃借人がいるため) 必要なステップは以下の順序 所有権を取り戻す(登記の回復) 占有者(賃借人)への対応 任意退去交渉 または裁判(明渡請求) 権利関係をクリアにしてから売却活動開始
3. 売却を急ぎたい場合の選択肢 弁護士を通じて「紛争中物件」として不動産業者に買い取ってもらう方法もあります(いわゆる“訳あり物件買取”)。 ただし相場より大幅に安くなることが多い。 将来の回復見込みや生活状況によっては、早期換金を優先する選択もあり。
4. 売主としての注意点 自力で賃借人に接触して退去を迫るのはリスクが大きい(不法行為に問われる可能性あり) 登記・占有・契約の3つの権利関係が複雑に絡むため、専門家の指示なしに売却を進めないこと 弁護士と相談し「①登記回復」「②賃借人対応」「③売却」の順序をしっかり決めるのが安全
✅ まとめ 現状では売却はできない。まずは所有権を取り戻すことが必須。 第三者賃借中の場合は「借主の善意・悪意」によって法的対応が変わる。 弁護士の指示のもと、登記回復 → 占有整理 → 売却、の順序で進めるのが本来の手続きです。