☆数次相続とは?手続きが大きく増えるケース

数次相続とは?手続きが大きく増えるケースをわかりやすく解説

相続の相談で増えているのが 「数次相続(すうじそうぞく)」に関するトラブルです。 数次相続とは、 相続手続きが終わる前に相続人が亡くなってしまい、次の相続が連続して発生する状態 のこと。 たとえば、 「父が亡くなり相続手続き前に母も亡くなった」 というように、 相続が“立て続け”に発生することを指します。 一見よくあるケースのようですが、実務では手続きが一気に増え、遺産分割協議が複雑化しやすい相続形態です。 この記事では、数次相続がどのような状態なのか、なぜ手続きが増えるのか、そして不動産が絡む場合にどう対応すべきかを専門家視点で詳しく解説します。

 

■ 数次相続はどんな状態? 数次相続は、簡単に言うと 「相続手続きが二段階になる相続」 です。 例) ① 父が死亡 → 相続人は母と子 ② 手続き前に母が死亡 → 父の分の相続を母の相続人(子や兄弟など)が引き継ぐ このように、 “Aさんの相続手続き” と “Aさんから相続するはずだったBさんの相続手続き” を同時に処理しなければならなくなります。

 

■ 数次相続が発生すると手続きが増える理由 ① 相続人が倍増し、話がまとまらない 本来の相続人が亡くなっているため、 その配偶者・子ども・兄弟姉妹……など 次の相続人が相続手続きに参加する必要があります。 結果的に相続人の人数が倍以上に膨れ上がり、 遺産分割協議が成立しづらくなります。 ② 遺産分割協議書を二重に作る必要がある 数次相続では、 先に亡くなった人の遺産についての協議書 次に亡くなった人の遺産についての協議書 という “2つの遺産分割協議” が必要です。 これは相続登記でも同様で、 登記手続きも2回分必要となり費用と時間が増えます。 ③ 戸籍の収集が膨大になる 数次相続は、 Aさん・Bさん双方の 出生から死亡までの連続した戸籍 相続人全員の戸籍 を集める必要があり、 ケースによっては20通以上の戸籍が必要になることも珍しくありません。 ④ 不動産が絡むとさらに面倒に 不動産相続の場合、 相続人全員の合意が必要ですが、 数次相続では相続人が多いため以下の問題が起きがちです。 売却に必要な印鑑が全員揃わない 名義変更が二重になり手続き費用が増える 放置され“空き家問題”に発展 共有名義が複雑化し管理が困難に 不動産がある相続では、数次相続は最も厄介と言っても過言ではありません。

 

■ どんなときに数次相続が起きやすい? 高齢の両親が続けて亡くなる 相続手続きをせずに何年も放置している 兄弟姉妹の誰かが相続の途中で亡くなる 相続人が高齢になっている 家族関係が疎遠で手続きが遅れている 特に 相続登記が義務化された2024年以降 は、 手続きが遅れている家庭が一気に数次相続リスクに直面しています。

 

■ 数次相続を避けるためにできること ① 相続が発生したら早めに手続きを進める 相続を放置すると、次の相続が起こる可能性が高まります。 ② 遺産分割協議をスピード重視で進める 家族内で揉めている間に次の相続が起きると、話が倍に複雑になります。 ③ 遺言書を作成してもらう 遺言書があるだけで遺産分割協議が不要になり、 数次相続のリスクが大幅に下がります。

 

■ ぱんだhouseからひとこと(現場実務) 不動産が絡む数次相続は、 相続人が10〜15人以上に増えるケースが本当に多いです。 その結果、 解体の承認が得られず空き家が放置 売却できず毎年固定資産税だけ発生 連絡が取れない相続人がいて手続きが進まない という事例を数多く見てきました。 「相続を放置しない」 「登記義務化に合わせて早めに相談する」 これが一番の対策です。

2025年12月13日