相続財産が多すぎて把握できないとき|見落としを防ぐ手順と効率的な管理方法
相続が発生した際、財産の種類が多く、どこに何があるのか把握しきれないケースは少なくありません。特に不動産、預金、保険、証券、負債などが複雑に絡むと、遺産分割協議が進まないだけでなく、相続税の申告期限(10か月)に間に合わなくなるリスクもあります。 本コラムでは、財産が多すぎる・情報が整理されていない家庭でよく起こる問題点と、漏れなく正しく財産を把握するための具体的な手順を解説します。
■ 相続財産の種類が多いと起こる典型的なトラブル ① 財産の“見落とし”が起こりやすい 相続財産の漏れは、後から発覚すると ✓ 遺産分割のやり直し ✓ 相続税の修正申告 ✓ 兄弟間トラブル につながります。 特に以下は漏れやすい財産の代表例です: 古い銀行口座 亡くなった人名義のネット証券 企業の持株会や退職金 借地権・山林などの不動産 生命保険の満期返戻金 仮想通貨・ポイント・電子マネー ② 名義不明の土地・不動産が後から出てくる 固定資産税の納税通知書に載っていない山林や畑が、 “祖父の代の名義のまま放置”されているケースは非常に多いです。 これは 相続登記が義務化(2024年4月〜)された今、特に大きなリスクになります。 ③ 相続税の計算が正しくできない 財産が多いほど、評価額の計算ミスや漏れのリスクが増します。 不動産、非上場株式、預金の相続時残高など、専門家が必要になることも。
■ 財産が多いときに最優先でやるべき手順 ① 通帳・キャッシュカード・保険証券をすべて集める 紙の資料が最強の手掛かりになります。 最近はオンライン口座も増えているため、 「スマホ」「メール」「紙の書類」すべてチェックが必要。 ② 郵便物を最低3ヶ月は保管して確認 金融機関・証券会社・保険会社からの封筒は財産のヒントです。
■ 効率的に財産を把握するためのリストアップ方法 ① 預貯金:銀行の全支店照会を依頼 「どの支店に口座があるかわからない」場合でも、 本店で照会すれば全支店を一括で調査できます。 ② 不動産:固定資産税の課税台帳をチェック 市区町村役場で、名寄帳(なよせちょう)を取得すると 被相続人名義の不動産を一覧で確認できます。 市外や県外に不動産がある場合は、 該当自治体すべてで名寄帳を取得する必要があります。 ③ 証券・株式:証券会社ごとに残高照会 ネット証券を利用している場合は、 ログイン情報がわからないと照会手続きに時間がかかるため要注意。 ④ 生命保険:保険会社へ契約照会 死亡診断書を添えて照会できます。 ⑤ 年金:遺族年金の確認も忘れず 基礎年金番号から、加入状況や未支給年金の確認が可能。 ⑥ デジタル資産:スマホ・PCを確認 仮想通貨、オンライン証券、PayPay・楽天Payポイントなど、 “デジタル資産の見落とし”が近年急増しています。
■ 財産が多い場合は専門家への早期相談が重要 遺産が多いほど、 税理士(相続税の計算) 司法書士(不動産名義変更) 行政書士(遺産整理) 弁護士(相続人間の調整) が必要になるケースが増えます。 特に相続税申告は10か月以内なので、 財産が多い=調査時間がかかる=早く動かないと間に合わない という構造になっている点を理解しておくべきです。 ぱんだはうすでも、 「不動産の相続調査」「未登記の建物や土地の洗い出し」など、 相続前後の状況整理をサポートしています。