☆成年後見制度のデメリットと代替策

成年後見制度のデメリットと代替策|家族が後悔しないための判断ポイント 認知症などで判断能力が低下したときに利用される「成年後見制度」。 一見すると便利な制度のように感じますが、実際はデメリットが多く、“使ってみて初めて後悔する”ケースも非常に多い制度です。 本コラムでは、成年後見制度の仕組みと問題点、その代わりに利用できる代替策を不動産・相続の専門家目線で詳しく解説します。

 

■ 成年後見制度とは?基本の仕組み 成年後見制度は、判断能力が不十分になった人(本人)を保護するために、 家庭裁判所が後見人を選んで財産管理や法律行為を代わりに行う制度です。 ただし制度上、 本人保護が最優先=家族の希望どおりに動けない という特徴があります。これが大きなデメリットとトラブルの原因になりがちです。

 

■ 成年後見制度の主なデメリット ① 家族が後見人になれず、“専門職後見人”が選ばれることが多い 実際には 弁護士 司法書士 社会福祉士 などの専門職が選ばれ、家族は財産を自由に管理できなくなるケースが多数。 ② 後見人の報酬が毎年かかる(ずっと続く) 専門職後見人が選ばれた場合、費用は 月1~3万円(年間12万〜36万円) 財産が多いと月5〜10万円になることも 認知症の期間が長いほど、費用は累積し続けます。 ③ 家族の希望で不動産が売れないケースが多い 成年後見制度は“本人の財産を減らす行為”に非常に厳しく、 不動産売却には家庭裁判所の許可が必要。 許可の条件も高く、 施設入居の資金が必要 認知症の人が自宅で生活できない など「明確な必要性」がないと認められないことも。 結果、 空き家になって固定資産税だけ払い続ける という事態になりがちです。 ④ 相続対策・生前贈与がまったくできなくなる 成年後見制度では、 相続税対策 生前贈与 不動産の名義整理 不動産の買い替え など “本人の財産を減らす可能性がある行為”はすべて禁止 されます。 認知症発症後は遅く、 『後見制度を使った瞬間、相続対策が封じられる』 という現実がよくあります。 ⑤ 一度始めると、本人が亡くなるまで終わらない 期間は 判断能力が戻る 本人が亡くなる まで継続します。 途中で「やっぱりやめたい」はできません。 ⑥ 家族が自由に本人の口座を使えなくなる 後見人以外は本人の財産に一切触れられなくなるため、 施設費や医療費の支払いも後見人経由で行う必要があり、 手続きが非常に煩雑になります。

 

■ 成年後見制度の代替策|後悔しないための3つの選択肢 ① 家族信託(民事信託) 近年もっとも注目されている代替策。 財産を「託す」仕組みで、認知症になっても家族が柔軟に管理できます。 できることの例: 不動産の売却 賃貸借契約 相続対策 建替え 施設入居の資金管理 空き家の処分 自由度が非常に高く、後見制度のデメリットをほぼ解消できます。 ② 生前に任意後見契約を結ぶ 任意後見は、本人が元気なうちに 「この人にサポートを頼む」と決めておく制度。 ただし、発動後は監督人が付き、費用も発生するため、 成年後見制度に近いデメリットもあります。 ③ 成年後見制度を使わず、家族内で財産管理をシンプルにする 以下の準備をしておけば、後見制度を使わずに対応できるケースもあります: キャッシュカードの管理 共有名義の整理 口座の集約 生命保険の整理 不動産登記の名義確認 専門家のサポートを受けつつ、 制度を使わずに済む状態を作るという選択も現実的です。

 

■ ぱんだはうすのワンポイント 不動産を持つ方はとくに、 **後見制度を使うと相続・生前対策が“すべて止まる”**ため注意が必要です。 家族信託、任意後見、不動産の事前整理など、 ご家庭の事情に合わせてベストな仕組みを選ぶことが大切です。

2025年12月13日