☆貸家建付地の評価と相続税の節税

◆ 貸家建付地の評価と相続税の節税|仕組みと注意点をわかりやすく解説

不動産を所有している方の相続対策として注目されているのが、 「貸家建付地(かしやたてつけち)」の評価引下げによる節税効果 です。 貸家として他人に土地+建物を貸している場合、 所有者は自由に利用できる状態ではないため評価額が下がります。 これが相続税の節税効果に直結する仕組みです。 ここでは、実務で使われる評価方法から、節税のリアル、注意点まで解説します。

 

■ 1. 貸家建付地とは? 貸家建付地とは、 第三者に貸し付けられている建物が建っている土地 を指します。 所有者が自由に利用できない=権利が制限されているため、 相続税評価額が 20%〜30% 程度減額されるケース が一般的です。

 

■ 2. 評価式(相続税評価)の基本 国税庁の評価では、貸家建付地の評価額は下記で求められます: 貸家建付地の価額 = 自用地評価額 ×(1 − 借地権割合 × 賃貸割合) 例: 借地権割合:60% 賃貸割合:100%(全て貸家の場合) → 自用地評価額 ×(1 − 0.6 × 1.0)  = 自用地評価額の 40% に評価減! これが相続税節税の大きなメリットです。

 

■ 3. 貸家建付地の節税が強い理由 貸家建付地は以下の理由で節税効果が大きくなります: ◎ ① 土地評価が大きく下がる 貸家建付地は土地評価が大幅に下がるため、 評価額が高い都市部の土地ほど節税効果が大きいです。 ◎ ② 建物の評価も「固定資産税評価額」で安くなる 賃貸用建物は固定資産税評価額で評価されるため、 実勢価格よりも大幅に低い評価になります。 ◎ ③ 小規模宅地等の特例も併用できる場合アリ 貸付事業用宅地 = 最大200㎡まで 50%の減額 (要件あり) ※自宅の330㎡の“80%減額”とは別枠で適用できるケースも。

 

■ 4. 貸家建付地節税の“リアルな現場”での注意点 節税効果が大きい一方、以下のような落とし穴もあります。 ◆ ①「名義貸し」「形式だけ貸家」は税務否認される 節税目的だけの 空室だらけ 実質的に賃貸していない 身内に格安で貸している などは否認リスクがあります。 ◆ ② 修繕費・維持管理費が実はかかる 貸家は老朽化対策が必要で、 実務では以下の出費も考慮すべきです: 外壁・屋根の修繕 空室リスク 原状回復費 管理会社費用 ◆ ③ 将来の“空き家化”リスク 賃貸マンションの空室が増えれば、 土地評価減はあっても収益が減り、実質的にマイナスになる場合もあります。 ◆ ④ 二次相続で節税にならないケースも 配偶者が存命の場合、 一次相続で節税できても、二次相続では効果が薄くなることがあります。

 

■ 5. どんな人に向いている節税か? 貸家建付地は以下の方に適しています。 都心部に土地を持っている 次世代への相続税を減らしたい 不動産運用のリスクを理解している 長期的な収益より節税効果を重視したい 逆に、 「管理したくない」「空室リスクに備えたくない」 という方には不向きです。

 

◆ ぱんだはうすのワンポイント 貸家建付地は節税効果が高いぶん、 評価・賃貸状況・建物状態など実務の確認作業が非常に重要です。 ぱんだはうすでは、 現地調査 相続税評価の試算 空き家・賃貸の収益性チェック など、相続不動産の総合サポートが可能です。

2025年12月13日