☆親が突然入院!そのとき必要な相続準備

親が突然入院!そのとき必要な相続準備

親が突然入院したとき、家族が最も困るのは「今どんな財産がどれだけあるのかわからない」という情報不足です。入院が長期化したり意思能力が低下したりすると、預貯金の管理や医療費の支払い、各種手続きが家族にのしかかります。さらに、相続前の段階で準備不足のまま進めると、実際に相続が開始した際にトラブルへ発展することも少なくありません。 ここでは、親が急に入院したときに家族が行っておくべき 相続の事前準備 を不動産・財産管理のプロの視点から詳しく解説します。

 

■ 1. 財産リストの把握が最優先 親が入院した段階でまずすべきことは、 財産の所在と名義を把握すること です。 ● 主なチェックポイント 預貯金口座(ネットバンク含む) 不動産(土地・建物、賃貸物件) 有価証券(株、投資信託) 生命保険 借入・ローンの有無 通帳・印鑑・権利証(登記識別情報)の保管場所 特に不動産は「あるのは知っているけど詳しい場所がわからない」というケースが非常に多く、後の相続手続きで大きな時間ロスにつながります。早めに固定資産税通知書を確認し、物件リストを整理しておきましょう。

 

■ 2. 医療費の支払い・銀行手続きで困らないために 親の入院が長引くと、 家族が銀行口座からお金を引き出せない問題 が必ず出てきます。 銀行は本人確認が非常に厳しく、 「親が入院中だから家族が代わりに下ろせる」 ということは基本的にありません。 ● 対応策 任意代理人の届出(銀行ごとに事前登録が必要) キャッシュカードと暗証番号の確認(可能な範囲で) 事前に 成年後見制度の検討 家族信託 を利用して財産管理の仕組みを作る 特に、意思能力が低下してからでは家族信託の契約はできません。元気なうちの準備が極めて重要です。

 

■ 3. 親の意思を確認しておく(遺言書の検討) 入院をきっかけに親と話し合える貴重なタイミングになることがあります。 特に以下のような場合は 遺言書の作成 をしておくと後々の相続争いを大きく減らせます。 子が複数いて不動産をどう分けるか不明 親族関係が複雑 再婚・内縁関係などがある 自宅と預金のバランスが偏っている 公正証書遺言であれば法的効力も強く、紛失の心配もありません。

 

■ 4. 入院中の不動産管理をどうするか 親が住んでいた自宅が空き家になるケースも多く、 郵便物の放置・防犯リスク・庭木の管理 が必要になります。 郵送物の転送設定 電気・水道・ガスの契約状況確認 空き家管理サービスの活用 遠方に住む子どもが管理するのは限界があるため、専門業者や不動産会社のサポートを利用するのがおすすめです。

 

■ 5. 介護費用と将来の生活資金をシミュレーション 入院後は退院しても介護が必要になる可能性があります。 相続のことだけを考えるのではなく、 親がこれから生活していくための資金計画 も同時に検討しましょう。 年金額 介護保険サービスの利用 自宅を売却するか・活用するか 施設入居が必要な場合の費用 相続対策と親の生活維持はセットで考える必要があります。

 

■ 6. 「相続発生後」を見据えた実務的な準備 突然の入院は相続の“予兆”と言われるほど、準備不足のまま相続が開始することが多いです。 以下を整えておくと、実際の相続手続きがスムーズになります。 親名義の不動産登記簿の最新取得 固定資産税通知書の整理 生前の資産移動の記録 家族全員で共有できるメモ作成 葬儀費用・遺品整理の手配先リスト

 

■ ぱんだはうすよりひと言 突然の入院は誰もが慌てますが、 「財産管理」と「意思確認」の2つさえ押さえておけば、 その後の相続手続きは驚くほどスムーズになります。 不動産や相続の実務は専門家の助けが大きな力になりますので、 ひとりで抱え込まず、お気軽にご相談ください。

2025年12月13日