持分放棄 ケーススタディ

共有持ち分放棄|ケーススタディで学ぶ最適な選択と注意点 4 不動産を複数人で所有する「共有名義」は、相続・離婚・投資物件などでよく見られる形ですが、 その後の管理・売却でトラブルに発展しやすいのが現実です。 共有状態のトラブルを解消する手段のひとつが 「共有持分放棄」。 しかし、単純に「持分を手放す」だけでは済まず、 登記・税務・管理責任・他の共有者の状況 によって結果が大きく変わります。 今回は、ぱんだhouseによく寄せられる相談内容をもとに、 現場レベルで起こるリアルなケーススタディ を交えながら詳しく解説します。

 

■ ケーススタディ①:相続した実家を兄弟が放置、妹が持分放棄を選択 ●【背景】 兄(60%)・妹(40%)が父から実家を相続 兄は遠方在住で管理せず、固定資産税は妹が負担 家は築45年で老朽化、空き家のまま放置 妹:「もう管理も税金も負担したくない…」 ● 起きた問題 妹は「持分を放棄したい」と考えたが、実は… 持分放棄=国や自治体に返せるわけではない 民法上、持分放棄は「他の共有者に帰属する」ことになる 相続税・贈与税の対象になる可能性も つまり、 妹が持分放棄すると 兄に自動的に無償で譲る=兄への贈与 とみなされるリスク。 ● 解決策 税理士と連携し、贈与税のリスクを事前に確認 兄と協議し、兄が実家を売却する意思を確認 持分放棄ではなく、売却のための 共有物分割(換価分割) を選択 結果:実家を売却 → 売却代金を60:40で分配 ✔ 妹は贈与税を回避 ✔ 空き家管理のストレスから解放 ✔ 兄も売却代金を取得し納得

 

■ ケーススタディ②:離婚後のマンション、元夫が持分放棄してもトラブル発生 ●【背景】 夫(50%)・妻(50%)の共有名義 離婚時に「夫が持分放棄する」という合意 しかしマンションの住宅ローンは 夫婦連帯債務 ● 起きた問題 夫が持分を妻へ放棄しても… ローンの返済義務は消えない 銀行が承諾しなければ「持分を失った夫がローンだけ払い続ける」状態に その結果、元夫が返済不能になり、  妻の住むマンションが任意売却の危険性 まで発生 離婚の合意内容だけでは銀行の契約は変わらないため、 持分放棄だけでは問題は解決しない典型例。 ● 解決策 銀行と交渉し、妻単独名義でのローン借換えを実施 夫の債務解除が認められたため、正式に持分放棄が登記可能に ✔ 持分放棄とローン問題は「別物」という重要ポイントが明確化 ✔ 将来の差し押さえ・任意売却リスクを回避

 

■ ケーススタディ③:共有持分を放棄したら管理責任から逃れられない? ●【背景】 投資目的で購入した古アパート 共有者A(30%)・B(70%) 修繕費で意見が合わず管理が停止 Aが「面倒だから持分を放棄したい」と相談 ● 起きた問題 Aが持分を放棄しても、  その時点までに発生した修繕費・固定資産税の負担は残る 放棄後の管理責任は消えるが、  未払い費用は支払わなくてはいけない さらに、アパートは  老朽化で入居者トラブル・倒壊リスク が高かった ● 解決策 放棄ではなく、共有持分買取サービス+買取業者への売却 を活用 全体としてアパートを売却し、共有関係ごと解消 AもBも精算金を受け取りスムーズにリセット ✔ 「放棄」よりも「売却」のほうが総合的に安全 ✔ 将来的な管理責任トラブルをゼロにできる

 

■ 共有持分放棄で起こる“見落としがちなリスク”

1. 贈与税のリスク 持分放棄=他の共有者への「無償譲渡」と判断される可能性。

2. ローン債務は消えない 持分を手放しても、連帯債務・連帯保証 は解除されない。

3. 過去の管理費・税金の未払分は残る 固定資産税・修繕費・管理費の滞納分は清算が必要。

4. 放棄後は戻れない 持分放棄は取り消し不可。 ※裁判で無効とされない限り元に戻せない。

 

5. 放棄しても不動産価値はゼロにならない 放棄することで他の共有者の負担が増え、 関係悪化につながることも。 ■ 共有持分放棄は「最後の手段」 持分放棄は便利そうに聞こえますが、 実務では 売却・分割協議・買取 のほうがトラブルが少なく、 最終的に所有者が得をするケースが多いです。 ぱんだhouseでは、 税務の観点(贈与税・譲渡所得税) 法務リスク(登記・共有トラブル) 市場での売却可能性 共有者の関係性 買取による早期解決 まで含めた 総合的な解決プラン を提案できます。

2025年12月13日