☆不動産の相続評価額の仕組みをわかりやすく

不動産の相続評価額の仕組みをわかりやすく解説 不動産は相続財産の中でも評価額が高く、相続税額を大きく左右する要因です。しかし、「どうやって評価額が決まるのか?」は一般の方にはわかりにくい部分。 ここでは、相続税評価の基本から土地・建物それぞれの評価方法、特例による減額まで、やさしく詳しく解説します。

 

1. 不動産の相続評価額の基本 相続税の計算に使用される不動産評価額は、実際の売却価格ではなく税務上の評価額です。 国税庁が定めた基準で評価するため、一般的に市場価格よりも低くなるケースが多くなります。 不動産は主に「土地」と「建物」に分けて評価します。

 

2. 土地の評価方法 土地は大きく分けて次の2種類の方法で評価されます。 ① 路線価方式 市街地など、道路に「路線価」が定められている地域で採用される方式です。 評価式:路線価 × 容積補正・形状補正などの補正率 × 面積(㎡) 例: 前面道路の路線価が20万円/㎡、敷地面積100㎡ → 評価額 2,000万円前後 路線価は一般の実勢価格の約80%を目安に設定されていると言われています。 ② 固定資産税評価額方式(倍率方式) 路線価が無い地域で採用される方式です。 市町村が定める固定資産税評価額 × 国税庁の倍率で評価します。 倍率は地域ごとに異なり、1.0〜1.5倍などが一般的です。

 

3. 土地評価の減額につながる特例 土地の相続では、多くの減額要素が用意されています。知らないと余計な税金を払うことになるため要注意です。 ● 小規模宅地等の特例 被相続人が住んでいた土地(330㎡まで) … 最大80%減 事業用の土地 … 最大80%減 貸付事業用の土地 … 最大50%減 相続税を大幅に減らせる最強の制度ですが、要件が複雑なので専門家のチェックが必要です。 ● 不整形地補正 三角形・L字型など使いづらい地形は評価額が下がります。 ● セットバックが必要な土地 建築基準法の道路後退が必要な土地は、その分の面積が評価対象外になります。 ● 私道負担 敷地内に私道(通路)がある場合、その部分は評価が大幅に下がることがあります。

 

4. 建物(家屋)の評価方法 建物は土地と異なり、固定資産税評価額=相続税評価額となります。 これは毎年4~5月に届く固定資産税通知書に記載されています。 木造は築年数とともに評価額が大きく下落し、RC造は下落が緩やかです。 例: 固定資産税評価額が600万円 → 相続税評価額も600万円

 

5. 実勢価格と評価額のギャップに注意 重要なのは、相続税評価額と売却価格は全く別物という点。 相続税評価額:税務署が決めた基準 売却価格:市場の需給で決まる価格 評価額は低く算定されることが多いですが、 売却する場合は市場価格の方が高いケースが多くなります。 そのため、 相続税対策と売却戦略はセットで考えることが重要 です。

 

6. 評価額を下げる合法的な相続対策 ① 生前に小規模宅地等の特例が確実に使えるように準備 同居や事業継続など「要件」を満たす事前準備が必要。 ② 貸家建付地の活用 アパート経営などは土地評価が減額される効果がある。 ③ 家族信託で資産の承継を整理 認知症対策としても有効。 ④ 不動産の生前贈与 ただし、贈与税と評価方法の差に注意。

 

7. まとめ 不動産の相続評価額は、土地は路線価や倍率、建物は固定資産税評価額で決まります。 また、特例や補正が多数あるため、事前の準備や専門家との連携が非常に重要です。 不動産を所有している方、将来的に相続を受ける可能性がある方は、 早い段階から評価額を把握し、対策を行うことで大きな節税につながります。

2025年12月13日